田中先生
新年あけましておめでとうございます。
初めて質問いたします。
独学でドイツ語を勉強しているのですが、なかなか疑問を解決する手段がなく困っていたところ、田中先生のゼミに行きつきました。
まだまだ始めたばかりで、質問も初歩的なものかと思いますが、ご示唆いただければ幸いです。
こちらの日本語訳に手を焼いています。
Weshalb bedarf es beim Studium der Literaturwissenschaft des Studiums der Literaturgeschichte?
2格が続けざまに出てきて、どの単語にどの単語がかかっているのか、混乱しております。
es beim Studium der Literaturwissenschaft で「文学研究のそれ(この訳自体あまり自信がありません…)」までは理解できたとしても、
des Studiums der Literaturgeschichte「文学の歴史研究の(2格)」はどこへかかるのでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いします。
コウグチ
あけましておめでとうございます。
お年賀をありがとうございます。
ご質問をありがとうございました。これもご縁ですので、よろしくお願いいたします。
ご質問についてですが、動詞 bedürfen は目的語に2格を指定します。
つまり、今回の文は、副詞的な(beim …)を簡便のためにまず外してみますと、次のようになります。
Weshalb bedarf es des Studiums der Literaturgeschichte?
(何のために文学史の学びが必要だというのか?)
この des Studiums は、動詞 bedürfen の目的語です。なお、es は、この文の主語です。es bedarf [2格] で、「[2格]が必要である」という意味になります。このような es は非人称主語と呼ばれており、Es gibt [4格]([4格]が存在する)などのような構文でも使われています。具体的には何も指しませんが、抽象的に「状況」を指すような、そのような主語です。
さて、そこに beim Studium der Literaturwissenschaft が副詞的に、添えられています。意味は「文学研究において」のような意味です(直訳すると「文学研究の際には」)。
以上のことから、文全体としては
「文学研究をする上で、なぜ文学史も学ぶ必要があるのか?」
のような感じになると思います。純粋な疑問として書かれているのか、あるいは文学史が必要であるということを伝えるための導入としての問題提起になっているのか、そのあたりは、この単文からはうかがい知ることはできません。
田中先生
さっそくのご回答ありがとうございます。
bedarf から 不定形 bedürfen まで行き着かず、調べることができていませんでした。
2格をとる動詞だったのですね。解決してスッキリしました。
これを機に2格をとる動詞を覚えておきたいと思います。
bedürfen(や、この動詞の基礎動詞である dürfen)は、母音交替型の不規則動詞ですので、一瞬戸惑いますね。2格をとる動詞や3格をとる動詞、あるいは4格-4格をとる動詞など、普通の他動詞(4格目的語を一つだけとる動詞)とは違うものは、日頃から意識して覚えていければいいです。