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    • #17492 返信
      しょうちゃろ

      カール・マルクスによる『フォイエルバッハ・テーゼ』の第11テーゼはドイツ語で

      Die Philosophen haben die Welt nur verschieden interpretiert; es kömmt drauf an, sie zu verändern.

      となっています。

      ここでの kömmt がウムラウトになっているのは何故か疑問に感じて調べたところ、kömmt は kommt の古語とされており、google検索ではバッハのカンタータなどが出てきます。

      しかし19世紀の人であるマルクスがバッハの時代の言葉を使うのは変ではないかと思い、気になって仕方ありません。ドイツ語のいわゆる古語とは19世紀中頃までふつうに使われていたものなのでしょうか?

    • #17498 返信
      tmasa
      キーマスター

      バッハの生きていた18世紀とマルクスの19世紀は、たしかに1世紀ほどの時代のずれがありますが、ドイツ語史的にはどちらも「新高ドイツ語 (Neuhochdeutsch; 17世紀中葉〜19世紀末)」に分類されます。新高ドイツ語には存在して、現代ドイツ語では失われたものとして、たとえば、過去形の単数・複数の母音交替(=単数形と複数形で違う母音を使って区別していた)があります。

      werden の過去形(単数)と過去形(複数)
      現代語 ich wurde – wir wurden
      新高ドイツ語 ich ward – wir wurden

      時制表示の明確化 (Tempusprofilierung) が起こり、現在は werden の過去形の母音は u になっています。
      綴りが似ている werfen の過去形(単数)と過去形(複数)は、
      現代語 ich warf – wir wurfen
      新高ドイツ語 ich warf – wir warfen
      となりましたので、こちらは a に統一されました。

      この時制表示の明確化(古くは、過去形の単数形と複数形で母音を違えていたのを、統一することにした変化)は、実は初期新高ドイツ語 (Frühneuhochdeutsch; 14世紀〜17世紀中葉) でも見られ、とても長いスパンで起こった変化と言えます。

      19世紀のマルクスと18世紀のバッハは、この長いスパンの中で起こる言語変化の中で見ると、近い時期とも言えることになります。

      なお、「古語」はさすがに中高ドイツ語 (Mittelhochdeutsch; 11世紀〜14世紀) などまで古くは遡らないかもしれませんので、初期新高ドイツ語やあるいは新高ドイツ語などの頃を指すのではないでしょうか。(私は語史が専門ではありませんので、最後のコメントは単なる感想です。)

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返信先: マルクスが使用するkömmt
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